研究内容

ホーム > 薬理学分野概要 > 研究内容 > 6. スダチ果皮による生活...

6
スダチ果皮による生活習慣病改善効果の研究

スダチは徳島県原産の香酸かんきつ類で、「大麻山の見える所でないとすだちは育たない」という言い伝えが示すように、徳島県が全国生産の99%を占めており、徳島県の県の花にも指定されています。
さて、スダチは高貴で独特の芳香を有していることから高級料亭の料理には定番の食材ですが、加工食品の原料としても広く用いられています。この加工食品の生産に伴って排出される搾汁かすは食品産業廃棄物として処理されており、不法投棄による環境問題にも発展していることから、その有効活用が模索され続けてきましたが有効な方策は示すことはできませんでした。
折しも、2008年からメタボ検診が義務化されたこともあり、生活習慣病の予防にスダチ搾汁かすを利用できないかと考え、本格的に研究に取り組みました。
まずはじめに、生活習慣病モデル(Zucker-fatty)ラットにスダチ搾汁かすから特殊な製法で作ったすだち乾燥果皮粉末(特開2007-77139)を投与すると、血糖値の上昇が有意に抑制され、また1年にわたり摂取させると生存率も改善する結果が得られました。
そこでまず手始めに血糖上昇抑制作用を有する化合物について検討をした結果、スダチ特有の成分に活性を見出しました。詳細な機序については現在も検討中ですが、その成果を先取りする形で、民間会社と共同で当該成分を含む“入浴剤”を開発し、現在販売中です。
一方、寿命延長効果については、様々な要因が複雑に絡み合っていることから解析は容易ではありませんが、我々は長寿遺伝子と呼ばれているサーチュイン遺伝子を活性化する物質がスダチ乾燥果皮粉末中に含まれているのではないかという仮説に基づいて探索を行いました。その結果、スダチ特有のいくつかの化合物において活性を見出しています(特開2009-126799)。
以上の実験は主に実験動物を使った物ですが、平成23年度には徳島大学病院にて倫理委員会に諮り、探索的臨床試験を実施しました。その結果、中性脂肪が120mg/dL以上の対象者で、スダチ乾燥果皮粉末を5錠/日服用することで、体重、BMI、腹囲、中性脂肪の有意な低下が観察され、学会で発表いたしました。
以上のように、スダチ果皮には生活習慣病を改善する物質が含有されていることが明らかになってきたので、今後も研究を続け、徳島県の誇る健康食材に育てていきたいと考えています。

徳島大学・大学院
徳島大学医学部薬理学分野 フェースブックページ